KIMOBIGブラジルグルメツアー2015の訪問先、ブラジル人のマゼランさんが無農薬で野菜や米をつくっているこんぺいとう農園で、バスツアーに参加した有志たちと田植えをしてきました。
今回参加してくれた岡さんから田植え体験のレポートが届きましたので、こちらに掲載します。
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初めての田植え
美晴さんから、こんぺいとう農園で田植えしないか、という手紙が届いた。先日、畑で食べた有機野菜の記憶が頭に、目に、そして舌によみがえり、すぐに行くことにした。
心配されていた雨も降らず、当日は朝5時起きで電車に飛び乗り、新幹線を乗り継いで富士宮駅に到着。前回の農園ツアーに参加したさかえさんとVivianeさんと落ち合った。2人とも私と同様、先日の訪問でこんぺいとう農園のファンになったようだ。みんな長靴を始め着替えや水などで、大荷物である。
迎えに来てくれたマゼランさんの車に乗り込み、先日訪れた畑とは別の場所にある田んぼへ向かった。
車1台通るのがやっとの農道を進み、こんぺいとう農園の田んぼへ到着。他の田んぼには、すでに青々とした稲が風にそよいでいる。マゼランさんは10枚(田んぼの単位)の土地を借りていて、今日はまだ1枚目だと言う。今年はこしひかり、もち米、ブラジル米を耕作予定だとか。
早速、マゼランさんが手押しの機械で苗を植え、機械が入らないところや苗がまばらになっているところに、1本ずつ手で植えていく。通常は一度に2~3本の苗を束にして植えていくのだが、こんぺいとう農園では1本ずつ植えて、その苗自身が成長するように育てるそうだ。そのほうが、味が濃厚になるとか。
野菜と違って、米は植えるのも刈るのも年1回。就農して4年のマゼランさんにとってもまだ4回目で、毎回新鮮な気持ちだという。
長靴で田んぼに入ると、泥の中に足がずぶずぶと沈んでいく。思った以上に深く、泥に足がとられて動きづらい。次第に長靴が煩わしくなり、長ズボンを膝までたくし上げて、裸足になった。泥で肌がつるつるになるらしい。
表面の水は日光で温められているのに、底の泥はひんやりと冷たく気持ちいい。おたまじゃくしやカエル、ゲンゴロウなどたくさんの生き物もいる。たまーに、足先にうごめくものを感じるが、怖いので考えないようにした。足の裏に感じた動きは、いったい何だったのだろうか……。
午前は、田んぼの水量が多かったせいで、機械が役に立たず、なかなか作業は進まない。しかし、5人がかりの作業で少しずつ田んぼに緑が増えていく。0.5アールの田んぼの半分が埋まったところで、ランチタイムとなった。
働いた後で空腹だったからか、屋外で食べたからか、ご飯が美味しい。手作りのハンバーグ、コロッケ、ミートローフ、ズッキーニの炒め物そして塩結び。手が止まらない。この日、うっかり手ぶらで来てしまった私は、睡眠時間を削って料理してきた友人たちに申し訳なく思いながらも、ごちそうを目の前にしたら最後、何度もおかわりをした上に、デザートの手作りプリンまでぺろりと平らげてしまった。
満腹になって午後の作業を開始。初めは関心がなかったマゼランさんの娘こまちちゃん(5歳)も、大人が楽しそうに作業していたからか、自ら田植えに加わった。泥まみれになって田植えをする娘を見てマゼランさんもニコニコしている。
初めは私が彼女に手を貸しながら稲を植えていたのに「お姉さん、苗とって」とか「そこに植えて」とすぐに形勢逆転、こまちちゃんから私に指示が飛ぶようになる。
田んぼの水も引き、機械もうまく動いたので、午前の倍のスピードで作業が進み、この日は終了。
東京から来た我々はこれで終わりだが、マゼランさんには残り9枚の田んぼと除草作業が残っている。シロウトの我々が物見遊山で農園に来るのは、マゼランさんの仕事の邪魔をしに行くようなものではないか、と心配していたが「最初の1枚で勢いがつくと、気分的にあとがやりやすいから、助かった」と言われ、ほっとした。
周りの青々とした田んぼに比べ、ひょろひょろの苗の植わったまだ緑の少ない田んぼ。秋までには立派に成長していてくれることを願い、今度は収穫に来ることを約束して、富士宮を後にした。
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岡千晴
岡山出身、東京に暮らして10年。心はカリオカ。
好きなお酒はビールとワイン。好きな食べ物は鯖の棒鮨、羊肉、チーズ。
ポルトガル語の通訳案内士の資格を有するが、ブラジルの地理のほうが詳しい。
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参考
BRASIL GOURMET TOUR 2015 Verão - SHIZUOKA -
キモビッグ主催ブラジルグルメバスツアー2015夏
http://kimobigbrasil.wix.com/tour